
初めての「情報」試験がスタート
2022年、高校で「情報Ⅰ」が必修化されました。デジタル技術を活用し、より快適で効率的な社会の実現を目指した教育改革の進展が背景にあります。この流れを受け、2025年1月の共通テストで新教科「情報」が初めて実施されました。
初めての「情報」の出題は、⼤学⼊試センターの公表する、問題作成方針の通り、日常的な事象を情報技術の活用で解決するというストーリーを中心に4つの大問で構成されていました。例えば、スーパーマーケットのレシートから情報を読み解き、ネットショッピングサイトやポイントカードなどのデータ連携のメリットを考察するものや、ある会計係がおつりの千円札の準備枚数をシミュレーションするものなどです。
プログラミング問題は読解力や思考力が重要
第3問は、プログラミングやアルゴリズムに関する出題で、工芸部の集中制作合宿での担当決めがテーマでした。特定のプログラミング言語の構文ではなくセンター独自の擬似言語が使われています。プログラミングの技術や知識というより、「情報を確実に読み取り理解する力」、効率よく処理するためにアルゴリズムを「思考する力」が問われていました。
初めてのプログラミング問題ということで、出題方法や難易度が気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、ビジュアルプログラミング言語の経験がある中学生や保護者の方にもわかりやすいようにスクラッチ(Scratch)を使って、どう思考すればよいのか解説していこうと思います。
「第3問」は3つの問で構成されています。次の各章では設問ごとの動画で詳細を解説していきます。
動画で使用している説明用資料、スクラッチのプロジェクトファイルはダウンロード可能ですので実際に手を動かして自由に試してください。お手元に共通テストの問題があれば、学習後にぜひ挑戦してみてください。
問1の解説: 図や表を適切に読み、出題の前提を理解する
問1は、出題の前提となる情報を与えられた表や図から適切に読み取る問題です。
問2の解説: 誰が次に「空き」になるのかプログラムを完成する
問2ではいよいよアルゴリズムが出題されます。担当の割り当てを通知するために、次に一番早く「空き」になる部員を見つける方法を考えます。
問3の解説:工芸品の担当と期間の一覧をプログラムで完成する
問3では、すべての工芸品の担当者と制作期間を決定するアルゴリズムを考えます。
小中学生が実際に挑戦!共通テストの問題は解けるのか?
スクラッチの学習経験を持つ小中学生に、動画と教材で学習をしてもらいました。その後、親子や講師と一緒に共通テストにも挑戦したところ、アルゴリズムの理解度も高く、擬似言語の構文にも戸惑うことなく、正解率はおおむね7〜8割に達していました。
実際に問題に取り組んだ小学6年生からは、「大学のテストなので難しいのかなと思っていたけれど、問1は意外と簡単でした。特に問2が少し複雑でしたが、じっくり動画を見てスクラッチでも試しながら、出題の定義をメモして整理すると、解けるようになりました」と、前向きな感想が聞かれました。
最後に
初めての「情報」問題は、身の回りの事柄を情報技術で解決する内容が多く見られました。親しみやすいテーマですが、比較的長い文章、図や表などの情報をしっかり読み解き整理する力が必要です。特にプログラミング問題は、特定の言語の知識や技能を問うのではなく、読解力や理解力、思考する力が試されていました。これらの力は、大人も子どもも現代社会を生きるすべての人に求められる基本的な力でしょう。
スクラッチのような小中学生向けの言語を用いることで、楽しみながら思考力を鍛えることが可能です。より多くの方に教材がお役に立てますと嬉しく思います。
教材のダウンロード
スクラッチのプロジェクトファイルの使い方
- スクラッチローカルエディタまたは、クラウドのスクラッチ画面を開きます。
- 「ファイル」→「コンピュータから読み込む」を選択して、ダウンロードしたプロジェクトファイルを選択します。
- スクラッチの画面が表示されます。問ごとのスプライトを選択し、定義「問2」「問3」にブロックをつなげてください。
緑の旗を押すとリセットされ、右上のステージ上で「問2」「問3」のうさぎを押すと定義につながったブロックが実行されるようになっています。


教材類について
本教材(PDF・スクラッチプロジェクトファイル・動画)は、商用・非商用を問わず自由にご活用いただけます。学校や塾、企業研修はもちろん、ご家庭での学習にもぜひお役立てください。改変・再配布も可能ですので、より多くの方に届くようご活用いただければ幸いです。
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