プログラミング講師インタビュー

プログラミング × 教育支援
児童養護施設で“生きる力”を育むNPO代表インタビュー

特定非営利活動法人セーフティベース 代表理事 山中孝一さま

神戸市内の児童養護施設で、ユーバーのプログラミング教材を活用して学習支援に取り組む特定非営利活動法人セーフティベース代表理事・山中孝一さんにお話を伺いました。会社経営とNPO代表理事として活躍される様子は、副業でプログラミング講師を目指す方にも参考になることが多いと思います。(2025年4月インタビュー)

プログラミング教育で子どもたちの未来を支援/NPO代表×会社役員の二刀流に迫る!

簡単に自己紹介をお願いします。
山中さま:
本業は製造業の会社役員をしています。並行して、週の半分ほどはNPO活動として児童養護施設を訪問し、子どもたちへの学習支援の一環としてプログラミング教育に取り組んでいます。

児童養護施設でプログラミングを教え始めたきっかけは?
山中さま:
最初は施設の方から「子どもたちにプログラミングを教えてもらえませんか?」という依頼があったことがきっかけです。子どもたちが夢中になれて、学力の底上げにつながるような内容を考え、学校の必修化にも合わせたカリキュラムを提案しました。

もともとプログラミングを教えることに興味があったんですか?
山中さま:
実はまったくありませんでした(笑)。ただ、人に何かを教えるのは得意だと感じていて、プログラミングも「人間力」や「生きていく力」を伝えるツールになると思い、学び始めました。

学び直しから、広がる実践へ

「ユーバーの講師講座」を受講しようと思った理由を教えてください。
山中さま:
最初は独学でScratchを勉強して、独自コンテンツも作っていました。でも、もっと深く学びたくて、いくつかの講座を受講しました。中でも、ユーバーさんの講師講座で「うさプロ」教材に出会って「問いの立て方」や「課題設定」など良いなと感じました。講座の内容も実践的で役立つ内容が多かったです。

受講後、どのように活動を始めましたか?
山中さま:
2020年から児童養護施設の訪問はしていましたが、本格的にプログラミング教育を始めたのは2022年。最初は片手間でやるのが失礼だと思って、自分のスキルを高めながら個人スクールを立ち上げました。受講者からの評判もよくて教えることへの自信につながりました。2023年から本格的に養護施設で教え始めました。教材開発は工数もかかりますし、課題設定なども苦労しました。そこで「うさプロ」の教材を用いています。受講者も徐々に拡大中です。

養護施設でのプログラミング教室の様子(画面は「うさプロ:クエスト」)

教材の活用と授業で工夫していること

うさプロ教材をどのように活用していますか?
山中さま:
70分の授業構成で、最初にタイピング10分、その後30-40分はScratchの「うさプロ」教材、残り20分はアナログパズルで論理的思考力を鍛えています。「うさプロ」の中でジュニアコースの教材も人気で、スライムを倒すクエストや、サウンドトレインが特に好評です。

「うさプロ」やさしい条件で冒険ゲームを開発「クエスト」

教えるときに大切にしていることは?

山中さま: 子どもたちの“自己肯定感”を大事にすることです。施設にいる子どもたちは、自己肯定感が低い傾向にあります。ですから、できたことに対してしっかりと承認してあげることを心がけています。ただ「褒める」のではなく、「あなたの頑張りをちゃんと見てるよ」という“承認”なんです。

そのために、教室では「独自のルール」をつくりました。たとえば、何かができたときには、みんなで拍手をして「せーの」「いいね!」と声をかけます。ハンドサインも一緒に出すことで、子どもたちが楽しく、自然に認め合える雰囲気を作っています。

山中さまの教室で”承認”を体現している「いいね!」のハンドサイン

さらに、パズルなどを使ったアナログ教材では、子どもたちが迷ったときにはヒントを与えつつ、少しずつ自力で進められるようサポートしています。

子どもたちは、ちょっと難しいことに対して「無理」と感じてしまいやすく、集中が切れやすい場面もあります。でも、「いいね」を積み重ねていくうちに、ヒントだけで取り組めるようになったり、自分からやろうとする“主体性”が少しずつ育っていくのを感じています。

それから片付けなど小さなお手伝いに対しても必ず「ありがとうを伝える」ということも大切にしています。
これは、定期的に行う講師同士のミーティングでも共通の方針として話していることです。


めちゃめちゃ感じる子どもたちの変化と成長

ご苦労もあったのでは?
山中さま: そうですね。はじめのうちは、わからないと泣いたり、走り回ったりということもあります。でも「怪我をしなければいい」と見守ることに徹します。子どもはある程度、感情を爆発させたら戻ってくるんです。じっくりと子どもを信じて「待つ」のが重要です。

活動を通じて、子どもたちにどんな変化を感じますか?
山中さま: めちゃめちゃ感じています。発達に課題のある子もいますし、最初はパソコンの前に座るのが難しい子、少しの困難でも感情を抑えられない子もいます。先ほどお話しした「いいね!」で承認を伝えることを繰り返す中で、徐々に変化していきます。少しのヒントだけで取り組めるようになり、走り回っていた子も少しずつ集中できるようになります。主体性が育っていく過程を目の当たりにする日々です。

パズルに取り組む様子

NPOについて 本業と両立するコツ

今後、この活動をどう発展させていきたいですか?
山中さま:
神戸市の児童養護施設にもっと広げていきたいです。また、施設を出た若者や、シングルマザーなどの居場所づくり、相談事業ももっと進めたいです。将来的には「NPOで働く=仕事・収入になる」仕組みを作り、若者や困窮者の独立までを支援したいです。

NPO運営と本業 両立のコツは?
山中さま:
まったく違う仕事なので、頭の切り替えが大切です。本業では自身の判断や仕事のスピードを追求しますが、NPOでは、子どもを「待つこと」が大切です。対極にあるからこそ、どちらにも良い影響や刺激を与え合っています。


講師を目指す方へのメッセージ

これから講師を目指す人に向けて、アドバイスはありますか?
山中さま:
「自分は子どもに何を伝えたいのか?」というビジョンを持つことが大切です。プログラミングはあくまでツールです。子どもたちに「いいね」「ありがとう」を伝えられる手段がプログラミング教育なんです。

そして、子どもの力を信じて待つこと、与えすぎないことが講師として大切な姿勢だと思います。それが子どもの能力を引き出すことになります。

講師講座受講を検討している方へ、ひとことお願いします。
山中さま:
知識を深めるには、プロのレクチャーが必要です。受講して、講師になると決めたら、自分自身も常に学び続けること。アップデートしないと、子どもに失礼です。だから、学び続ける姿勢が一番大事だと思います。

最後に(インタビューを終えて)

「子どもたちのヒーローになるために」山中さまはご自身の半生を振り返り、そんな強い決意を語ってくださいました。インタビュー中も児童養護施設にいる子どもの今と未来への想いが溢れていて何度も胸を打たれました。
これからも、子どもたちの未来に寄り添いながら、ひとりひとりの力を信じて、共に歩む活動を続けていかれることと思います。プログラミングやうさプロがツールとしてその一助となれたら嬉しい限りです。

お願い

特定非営利活動法人セーフティベースの活動は寄付で成り立っています。ぜひ応援をよろしくお願いします。

特定非営利活動法人セーフティベース

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