【講師コラム】子どもの自由なアイデア出し、想いをカタチにするために講師ができること

〜創造的な授業・サポートのコツ

今回は、子どもの自由な作品制作、創造意欲を喚起するサポートのコツについてお答えしたいと思います。
保護者の方やプログラミング教室を開講したい先生向けの内容です。

プログラミング作品制作 アイデア出しで行き詰まった時には

「プログラミングコンテストに向けて作品作りに挑戦したい」、「自分だけのゲームを1から作りたい」こんな意欲的な言葉を聞くと、子どもたちにつられて周りの大人もワクワクします。でも、いざ作ろうと意気込んだ子どもたちが、「想い」と「アウトプット」の乖離に気持ちが萎えてしまうこと、そもそも何を作ったらよいのか行き詰まってしまうこと、最後まで作りきれないこと、よくあります。非常に残念ですよね。

そこで1つ重要なのが作品のテーマやシナリオを決めるためのアイデア発想です。 子ども達がアイデアを出して、やり切って、そして達成感も味わうために講師やお家の方ができるサポートのヒントとして、私たちが普段やっていることをお伝えしようと思います。

アイデア発想のコツ・ちょっとした助言

なんでもいいからアイデアを出すってなかなか難しいものです。大人だって会社や組織の会合でそんなこと突然言われたら困りませんか?

プログラミングコンテストではテーマが設定されていることもあるのですが「未来」とか「発明」とか「デジタル」とか漠然としていることが多いのです。そんな時にはあえてさまざまな「制限」をつけて書き出すということを、私たちのスクールではアイデアコースの中で実施しています。

もちろん、合う、合わないはありますが、1つの手法としてご紹介します。

あえてさまざまな制限を設けるのも意外と効果的

具体的な例としては、まず時間的、数的な制限です。例えば「3分」で「10個以上」書き出すこと。
さらに色、場所、時間帯、シーン...など、どんどんと制限事項を追加していきます。
「学校に関係すること/お家の中にあるもの/机の上にあるもの」で「困ったな/こうだったらいいなと思うものごと」を「3分」で「10個以上」といった具合です。

出てこない時はさらに範囲を狭めてみます。

慣れてきたら、制限事項を変えて何回も繰り返します。とにかくどんどん書き出してもらいます。

自信を持つこと、楽しむこと、絶対に否定しないことが大切

大切なのは本人もサポートする大人も「こんなことできるわけがない」「ばかげている」といったネガティブな感情を持たないこと。楽しい雰囲気の中で、一切の否定をせずにたくさん書くことに集中してもらいます。

すごい発想が飛びだしたらどんどん褒めて、さらに飛躍を狙います。
たくさん書くってとても大変で、とても難しいので、書けるってことは本当にすごいのです!
自信をもって
進めていきます。

次に書き出したアイデアを眺めて「気に入ったもの/テーマ」を選んでもらいます。

そしてそのテーマを解決、実現するために何があったらいいだろうと再び「制限」をつけてアイデアを考えるといった具合です。

関係がないものでもよいから自分が好きなモノ・コトを書き出して、「それらを組み合わせて使えないか」なんて具合に解決方法のアイデアを飛躍させても楽しいです。

テーマが決まったら、計画のステップへ

絵コンテは設計図 とても重要

自分のテーマが決まったら、次はどのように表現するのか、計画を進めていきます。「起承転結」のあるアニメや、ゲームなど表現手段を好みに合わせて決めましょう。大まかなシナリオを決めたら、それを絵コンテにしていきます。

絵コンテは、アニメ、映画、CMなどの映像作品のイメージを伝えるための一連のシーン表のようなものです。
背景と登場するキャラクター、アイテムを書き、セリフや動きをメモして行きます。細かく描き込む必要はありません。
棒人間や図形でさっと書いておけば十分です。ただこれが設計図になるので、実は完成するためにとても重要なのです。

「書くのなんて面倒だからすぐ作り始めたいよ」ってよく言われます。気持ちもわかりますし、本当に頭に設計図が入っていて作り切れる子もいます。

でも、もし最後まで作りきれない時には、ノートでも裏紙でもよいから絵コンテを書いてから着手してみるよう、アドバイスをしてみてください。

絵コンテをもとに素材制作から

ある程度、絵コンテができたら、一度レビューをします。良い点に加えて、演出のバランスやプログラムでの再現の難易度、表現のしやすさ(視聴者に伝わるか)など、講師の視点で気づいたところを伝え話し合いましょう。でも作品は子どものものなので、やりたいことを優先して、どうしたら持っているスキルの中で相手に伝わる演出になるのか一緒に考えて行きます。

絵コンテの完成です。

あとは必要なキャラクターやアイテムの絵、背景の絵、音素材といった素材制作から始めます。動きを出したいキャラクタやアイテムは、背景の絵に描いてしまわずにスクラッチのスプライト(キャラクター)として描きます。

ここまでくれば作品は半分完成したようなものです。あとは絵コンテにそってシーンごとにプログラムを組み立てていきます。

講師は、子どものやりたいことを聞き出して、力量に合わせたアドバイスを送りましょう。表現手法に行き詰まったら相談にのりながら制作を見守ります。

課題発見力に欠かせないアイデア発想力を育もう

21世紀の学びでは課題解決型のプロジェクト学習が取り入れられていますよね。学校教育でも社会人になっても課題発見力や解決力といった力の重要性が増しています。 課題発見力に欠かせないのは、常識にとらわれない柔軟で飛躍した発想力だと思います。そういった意味でもアイデアをどんどん出せるというのは素晴らしい力です。アイデアが100個飛び出しても明日すぐにテストの成績が伸びるとは言い切れませんが、役に立つ日が来ると信じています。
大人も子どもも、講師の皆さんも柔軟にアイデアをたくさん出して行きましょう。